先週のブログ「『がんばれ』では成果は出ない」を今週と来週の2回で詳しく説明します。
ところで、あなたは1日に何回「頑張れ」「頑張ろう」「頑張ったら」という言葉を使っていますか。
夏休みが始まり様々な高校や塾、予備校で授業をさせていただいておりますが、
「どう『具体的に』頑張るのか」が描けていないと、ゴール設定があってもそこに至るまでの行動計画がないために、結局は遠回りをしたり、永遠にたどり着けなかったりするのです。
だからこそ、私は今週と来週でお伝えしたいのです。
(1) 漠然とした夢や目標を持とう
こんなにも混沌として、先行き不透明な世の中です。
「将来、何になりたいの?」という質問はほぼナンセンスになってきているのではないでしょうか。
確かに、「消防士になりたい」「サッカー選手になりたい」「警察官になりたい」・・・という夢を持つことは大事です。
しかし、現実は「自分にできること」の数を増やす方が将来には有益だと私は考えています。
だから、夢や目標は漠然としたものでいいのです。
「大学に合格する」
「英語ができるようになりたい」
「大金持ちになりたい」
「海外で暮らしたい」
そういう夢や目標が「達成できるかもしれない」と、きっかけや希望を与えるのが教師の役割です。
しかし、漠然とした夢や目標が持てない生徒もいます。
その場合は、直近のことに対する夢や目標でいいのではないでしょうか。
「次の小テストで満点を取る」
「次の中間テストでは欠点を取らない」
など短期的な夢や目標を教師と生徒が共有することが肝心です。
(2)集中力
話は少しそれて、「教師の側からの見た集中力」についてまず私の考えを述べさせていただきます。
前に立って教えていると常に感じますが、子供の集中力は長続きしません。
割と能力のある子供でも、本当に集中力が続いているのかどうかは不明です。
「集中しているふり」をしている可能性もあります。
一般的に「集中力は長続きしない」と言われています。
だからこそ、力量のある教師は「集中力は長続きしないという前提で、授業に工夫をする」のです。
つまり、集中力が切れそうなタイミングで授業に「変化」を与えるのです。
みなさんも、まっすぐな道路を運転していたら次第に睡魔が襲うのではないでしょうか。
また、単調な作業を長時間していると頭がぼーっとすることもありますよね。
それを防ぐために、授業に「刺激」を入れます。
そして子供たちの集中力をリセットし、リスタートさせます。
だから、「集中しろ!」という言葉は確かに重要ですが、「集中させる工夫を考えろ!」と教師に言いたいものです。
次に、「生徒側から見た集中力」です。
先日、私は「君たちは『集中して授業をきく』と常に言うが、一体『集中している』とはどんな状態をさすの?」
と問いかけました。
・先生の話を一言も聞きもらさない
・先生の話をしっかりと書き留める
・先生の話を一回で理解する
・一問も間違えずに問題を解く
・授業の中ですべて覚えきる
・「なぜ」と思いながら授業を聞く
様々な答えが返ってきました。
しかし、中には「集中している状態」がどんな状態かイメージできていない子もいます。
あなたのお子さんや生徒さんの中に「集中力の定義」はあるのでしょうか?
(3)時間
時間の使い方は、もやは勉強だけの話ではありません。
大人にとっても仕事の質を改善するためには時間の使い方が重要です。
大人になれば「時間の使い方は大切やなあ」と実感します。
しかし、勉強が苦手な子は時間の使い方が下手、というよりは「知らない」というのが現実です。
「知らない」のに「時間をうまく使え」とアドバイスしても何の解決にもなりません。
だから、勉強が苦手な子には、まずどんなふうに時間を使っているのかをしっかりと聞き取ります。
例えば、3回連続小テストの点数が10点中2点だったとしましょう。
あなたはどのようにして、この子に接しますか。
私はまず、「笑顔」でその子を呼びます。
そして、「この小テストの勉強にどのくらいの時間を費やしたの?」と聞きます。
実は私は、この質問に対する答えには正解がないと思っています。
5分だろうが、1時間だろうが、はっきり言って何でもいいのです。
要は「勉強したのか、しなかったのか」が大事です。
〈勉強しなかった場合〉
「小テストの勉強をしなかった」「小テストがあるのを忘れていた」「やろうと思ったけど、覚えるのが苦手だから先に違う科目の勉強をした」「やろうと思ったけど忙しくてできなかった」「疲れて寝てしまった」
様々な返答が返ってきます。
だから、それぞれの理由に対して、次の手を打たなければなりません。
〈勉強した場合〉
ここでは時間は問題ありません。
要は「勉強したのに小テストが取れなかった理由」が「前向きな理由」なのか「後ろ向きな理由」なのかが大事です。
●前向きな理由⇒ケアレスミスをした、やるページを間違えた、1問にこだわりすぎて先に進めなかった
●後ろ向きな理由⇒テスト前にさっと見ただけ、どう解いたらいいのか分からなかった
このように子供の自己分析に基づいて、「さて、どう時間の使い方を教えてあげようか」というのが大事ではないでしょうか。