なぜ塾の先生は一般的に授業がうまいのか(6)-教材の作り方-

 

こんにちは。WEST-TOTAL-EDUCAIONの西です。

この仕事に限らずどのような仕事でもそうだと思いますが、

どうしても世間が狭くなってしまいます。

会社の人との付き合いはあっても、なかなか他の人との付き合いがありません。

自分の授業の魅力を引き立たせるには、自分そのものを磨く必要があります

そのためには積極的に外で出て新たな知識を吸収することも大事です。

いろいろな世界を持っていることで、

子どもたちにその情報を提供でき、

子どもたちもさらに考えることができるからです

幸い、私はプロ講師であるとともに、

「話し方セミナー」「目標設定セミナー」「行動計画セミナー」

を開いていますので、多くの業界の方と出会えます。

そこでお聞きする話には授業で役に立つネタが満載です。

■教材の作り方

話がかなり横道にそれてしまいましたが、

専門性を高めるには縦にも横にも広げていかなければならないと思います。

さて、前回は「教材の使い方」の話をしました。

今日は、「教材の作り方」です。

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(1)塾専用教材がある場合でも・・・

塾には市販されていない「塾専用教材」があります。

塾専用教材を使う場合はもちろん塾内の担当者がそれを精査して納入しています。

それが末端の教室に降りてきた場合、よく起こるのがミスマッチです。

「どうしてこの教材?」

だからこそ、担当者と末端の教科担当者とのすり合わせが必要になります。

実際に授業を担当する講師は付随のプリントを自作するでしょう。

この自作プリント、もしあなたが教室の責任者ならば、講師任せにしていませんか

(2)教材の作り方

先ほどの「自作プリント」を含め、教材を独自に作成する場合についての私の考え方について述べます。

①自作プリント、独自教材は本当に必要なのか

スタートはここからです。

そもそも「自作プリント」「独自教材」を作ることに喜びを見出している講師が多いです。

「本当にその教材は必要ですか?」

特に塾専用教材と教科書とノートがあれば、自作プリントの90%が不要だと私は考えています。

例えば、中学校の英語で新しい文法単元を指導すると仮定してください。

1.型(公式)と訳し方の紹介

2.例文の説明

3.演習問題

これが新単元の主な流れです。

次に自作プリントを入れてもいいですが、私ならばもっと違うことをします。

それは「ゴール」設定がそもそも違うからです。

私のゴール設定は高校入試でも大学入試でもありません。

「使える英語(発信力のある英語)」です。

だから・・・

4.演習問題の音読

5.演習問題の暗誦

6.演習問題の単語を一部変えて英作文

ここまでやります。塾専用教材とノートがあればできることです。

もっと日本の将来を考えないと、もっと英語教育を考えないと!

②独自教材を作る方法

特に大学入試を専門とする場合、集団クラスでは塾専用教材を使わずにプロ講師に一任されることが多いです。

私もこの春から塾で7クラス、高校で7クラス、大学・短大(こちらは英語ではありませんが)5クラス担当します。

そのうち16クラスは独自教材にしなければなりません。

A 逆算型

私が教材を作る場合(英語に限りますが)、「逆算型」です。

例えば新高3生の長文読解のクラスを持つと仮定します。

1.クラスの現状と将来の把握

これが、まず最初にすることです。

ある程度の予測も入りますが、以下のことを考えます。

「国公立志望が多いのか」

「難関私立志望が多いのか」

「中堅私大志望が多いのか」

「センター試験を受けるのか」

「公募推薦が多いのか」

途中で増えることも多いので、最終的には「難関私立志望」で設定をします。

国公立志望をする子には別途、課題を配布します。

今の私立大学を受ける生徒はセンター試験を併用ことも多いので、センター対応型にもしておきます。

2.期間と内容の設定

・翌年1月19日~31日「私立直前対策」・・・志望校別私立大対策

・翌年1月1日~16日「センター直前対策」・・・センター内容

・12月・・・「センター対策」

・11月・・・「私大800語~1200語長文対策」

・10月・・・「公募推薦対策」

・9月・・・「私大600語~800語長文対策」

・8月・・・「センター・私大(~600語)長文対策」

・6月~7月・・・内容一致対策

・4月~6月・・・精読演習

こんな感じで決めていきます。

3.テーマの設定

長文を扱うにしても、設問の種類はバラバラです。

・内容一致

・適語補充

・和訳

・整序

それぞれの時期に合わせて問題をチョイスしていきます。

4.問題の配列

「基礎⇒標準⇒応用」と並べることが多いですが、

受験直前期となると「応用⇒標準⇒基礎」に変えることもあります。

後者の方が、「達成感」が得られやすいからです。

ただし、後者にするかどうかはそのクラスの状態を見て最終的に判断します。
上記以外にも、いろいろと考えなければならないことがありますが、

とにかく「準備」「分析」「時間」が必要です。

なぜ塾の先生は一般的に授業がうまいのか(5)-教材の使い方ー

こんにちは。WEST-TOTAL-EDUCATIONの西です。

今月に入ってから、春休みから1学期にかけて使う英語の教材を作成しています。

新しく持つクラス、これまで担当してきたクラスなどを念頭におき、

教材作りをしております。

「教材作り」については明日のブログで伝えますが、

今日は「教材の使い方」について述べたいと思います。

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■教材の使い方

(1)意図は何なのか

教材を最初に手にしたとき、もちろん中身を確認します。

・どんな単元があるのか

・構成はどうなっているのか

・レベルはどのくらいなのか

・ページ数はどれだけあるのか

上記以外に、私が大切にしているのは「教材作成者の意図」です。

いくらIT機器が発達したとはいえ、問題の選定は機械任せはできません。

最期の校正で必ず作成者自身が再度目を通すはずです。

そのため教材には「作者の思い」が入り込みます。

・いったい作者はどのような意図でこの教材を作ったのか

それを付随の資料や、塾スタッフ、作成者本人から確認をします。

良い塾だと「時期に応じたテーマ」があります

例えば・・・

「最終的にはこの学年には京大・阪大・神大レベルに持っていきたい。

しかし、今のこの子たちは、まだそこまでいけるレベルではない。

さらに、春は新入生がたくさん入塾します。新入生は今まで部活を中心に

してきたのでそこまで勉強はできていません。だから、基礎的なことを中心に

指導してあげてください。『英語っておもろいなあ』そう感じさせてあげてください」

のように塾の思いを伝えてくれます。

そして、「塾のテーマ」×「テキスト作成者の意図」×「生徒たちの力」×「私の授業力」

が絡み合って授業が成立するのだと私は思います。

(2)何を教えないか

授業において、先生の力量が求められるのが「何を教えないか」です。

もう一度言います。

「何を教えないか」

です。

つまり、「教える内容」と「教えない内容」の線引きができるかどうかが先生の力量の1つです

・このクラスのレベルならば「ここまで教えよう」

・このクラスは「ここを教えるよりは、こっちに時間をかけたい」

など、クラスや個人に応じて問題を選別できるかどうかです。

学力的に厳しいクラスに「新しい情報」を伝えすぎるのは消化によくありません。

生徒が1段ずつ階段を登れるように授業の設定をしてあげなければなりません

(3)問題の優先順位をつける

次は「教える問題」にスポットライトを当てます。

ここに大問1があって、そこに小問が(1)~(10)まであるとします。

そしてその10個は必要なので教えると仮定します。

あなたはその10個に対して優先順位をつけられますか。

つまり、その10個の重要度が分かりますか。

過去の入試問題などを研究していると、

・良く出る問題

というのがあります。

また、

・過去の生徒たちがつまづいた問題

というのがあります。

だから、(1)~(10)まで教えるにしても、

講師の側が重要度(優先順位)が分かっていれば、

「(3)は○○大で出題されたもの。何度も似た問題が出る重要なやつだ!」

と声のトーンを高くし、生徒たちにアピールできます。

そうすると生徒もこの問題に対する意識がグッと上がります。

勉強熱心な先生ほど多くの気づきがあるものです。